しばいぬメモ ブログ

柴犬のいる暮らし、躾や世話についての日記

黒柴は見た。



2022年1月24日

「カナデ、台所には入っちゃダメだよ。」


 料理中に灼熱の油がハネたり、包丁が落ちてきたりと、厨房は危険がいっぱい。


 (ゴハン、まだなの?) 隙間から、ガン見してプレッシャーをかけてくるカナデさん。


「今ね、作っているからね。」と僕。

「キュイーン、キュイーン」(早く、早くしてよ〜)と、騒ぎまくる黒い影。


 「だから、もうすぐだから、待ってて!」「ギャオーン」

「カナちゃん、騒ぎ過ぎだから。はい、できました。こっち来て。

  

 居間にカナデを誘導して、「スワレ。」(ハイ、座りました!)


 ゴハンの器を床に置きつつ、「マテ。」カナデは唾を飲み込み (云われてないけど、フセもできるのよ!)


 僕は10秒くらい待たせてから「ヨシ!」と声をかけると、カナデは素早い動きで器に突進、勢いよくガツガツと早喰いする。


 そして、あっという間に完食。

「そんなに慌てて食べなくてもいいのにカナデさん、横取りしないから。」(ゲップ)


  カナデがやってきて3週間が過ぎ、躾は順調に進んでいる。


 散歩時のリードの引っ張り癖は、ほぼ解消。


 散歩から帰ると、玄関前で「ブルブル」。

家に上がる前の脚拭き。

 

 少しなら爪切りもできるようになった。


 問題は、歯磨きなのだ。

4回目の挑戦はこれ。


人間の歯間ブラシの先だけを利用して、ゴムの指抜きに穴を空けてそこに

ブラシを通してあります。


 指で歯を触ることは許してくれるカナデは

果たして歯磨きをさせてもらえるのか。

ジロさんの挑戦はつづく。


ドッグラン・デビューの日。



2022年1月23日

 カナデさんは犬対し警戒心が人一倍、否、犬一倍強い。


 それもそのはず、カナデを里子として迎え入れる前の、カナデのご実家では柴犬3頭暮らしであったが、3歳の赤柴犬の姉と互いに流血の大喧嘩を経験してきたからだ。


 先住犬である6歳の母柴と3歳の娘柴のところに黒柴仔犬のカナデが加わり、賑やかで平和な日常を過ごしてきたのだが、カナデの体も大きくなってきた月齢7ヶ月の時に、ちょっとした事をキッカケに3歳柴の嫉妬心やカナデの自我の発露などで序列争いに火がついて闘いは激化、とうとう、2頭の仲は修復不可能となってしまったのだった。




 犬に噛まれる痛みや恐怖は強く記憶している。


 カナデさん、だからこそ、犬同士で心を通わす喜びを思い出して欲しいんだよな、ジロさんは。


 「カナデ、朝の散歩はドッグランに行くよ。」

(ドッグラン?なにそれ、美味しいのかな?)

 「犬友作りに行くんだよ。はい、車に乗って、抱っこするよ。」僕が両腕を伸ばすと(了解デース)と、カナデは前脚を腕にかけた。ジロ&カナの抱っこはだいぶ板についてきたところだ。

 

 それにしても秋田犬と比べて柴犬の体重の軽いこと、先代の秋田犬の介護の時には、抱き上げて階段を下りたらギックリ腰になってしまったことがある。


 ドッグランデビューの日は土曜日とした。週末の公園には犬を連れてくる人は多い。


 狙いは的中、たくさんの犬達がいる。お、丁度良いことにグレートピレニーズが居るではないか。


 「こんにちは〜、あれま、お久しぶりです。」マスク装着で遠目には誰だか解らなかったが、飼い主さんは先代犬の頃からの犬友さん。

 グレートピレニーズの飼育は三代目であり、優しくおとなしい犬に育て上げるご夫婦だった。



 「カナちゃん、ほら挨拶してみなよ。大きいねえ、怖くないよ。」僕はピレネーの近くに腰を落として、「お名前なんでしたっけ?、あ、ユキマル君ですね、ふむふむ、お歳は7歳ですか、ユキマル先輩、仲良くしてね。」僕はユキマルの首を両手で撫でて、

「カナちゃん、来てごらんよ、大きくてカワイイよ。ほら。」

 

 ピレネーの顔は本当にデカイ。秋田犬の顔も大きいが、更にその1.5倍はありそうだ。

 ぬーと、頭が近付いて来ると、カナデはリードの長さいっぱいまで後退した。僕はユキマルのぶ太い胴体や首を抱きしめて、カナデに安全だよと、教えた。


 ピレネーが身体の向きを反転させて後ろ向きになると、カナデは興味を持って近付こうとするも、ユキマルが再び顔を向けるとカナデは後退した。僕が「やっぱり顔が大きくてコワイよ〜。」と、カナデの気持ちを実況したら、飼い主夫妻は「ハハハッ」と、笑った。



(ジロさんの言う通りだわ。白いオジさん優しいのね、アタシも一緒に地面をクンクンしとこ。)


 午後の散歩は日没の少し前。一緒に夕陽を眺める。

 


 カナデ、大丈夫だ、犬友と遊べるようになれるよ。


お願いだから、怖がらないで!



  2022年1月22日

 朝の散歩は最寄りの砂浜まで歩くことにした。


 浜に着くと、前方に赤柴犬を発見、カナデは遠慮をしつつも興味を示して10メートルくらいの距離を保ち様子を覗っている。


 ロングリードを付けたその赤柴はどうやら牝らしい。顔の表情を見る限りは穏やかそうな性格だな、と僕は思った。


「おはようございます。何歳ですか?」と飼い主さんに訊けば「10歳ですよ。」

と、年配の女性が答えた。「ウチは生後8ヶ月で社会勉強中なんです。カナデ、大先輩だね、挨拶してみたら?」


 カナデは、緊張したまま、じっとして動かない。先輩の赤柴ちゃんは会話を汲み取ってか、(へえ、そうなんだ。)と、静かにトコトコとカナデに近付き2メートルの距離で止まると、エヘっと笑顔を見せた。


 「ほら、カナちゃん、優しい柴ちゃんだね、来てくれたよ、挨拶すれば?」

(いえ、この距離で限界ですから、お構いなく。) 

 相手の飼い主さんはカナデの固まり具合を見て、「ほら行くよ。」と赤柴のリードを引いて離れてゆく。カナデは後をついて3歩ほど進んだ。

 

 「なんだ、カナデ、本当は仲良くしたかったんだね、次に会ったら挨拶しようね。」



 慎重な性格のカナデさん、犬友作りも大事だけれど、歯磨きもね、練習しないとな。

 散歩から戻り食事を済ませると、新しく購入した歯ブラシを試してみる。


 僕は正座になりカナデを抱っこしてから指でカナデの歯をいじりまくる。

ここまではさせてくれるんだよな。その流れで指に歯ブラシをはめると、

ギャ〜、ガルルル、と、カナデはゴジラに変身。

 恐い顔をすれば歯磨きしないで済むと思われても困るので、ここは心を鬼にして

逃げ出そうと暴れるカナデを無理やり手篭めにして上顎の奥歯に4回だけブラシを当ててみると、カナデは白目を剥いてイヤがった。

 人間不信になることだけは避けたいので今日はここまで。


 

「うーん、これはダメだったか。形が怖くて気に入らないのかな。」


 そこで翌日は小さな歯ブラシのブラシ部分だけを切断して中指に輪ゴムで留めてみた。人差し指で歯を触って馴染んだ頃に、隠していた中指のブラシで磨こうとする作戦。


これが、こうなる。



しかし、これも失敗だった。

始めは順調に人差し指で磨かせてくれたのだが、中指に替えた瞬間に

(チョット、何やっちゃってのよ!)と、敏感なカナデは唸りだした。断念。


 カナデさんの歯磨き練習は続く。