お願いだから、怖がらないで!
2022年1月22日
朝の散歩は最寄りの砂浜まで歩くことにした。
浜に着くと、前方に赤柴犬を発見、カナデは遠慮をしつつも興味を示して10メートルくらいの距離を保ち様子を覗っている。
ロングリードを付けたその赤柴はどうやら牝らしい。顔の表情を見る限りは穏やかそうな性格だな、と僕は思った。
「おはようございます。何歳ですか?」と飼い主さんに訊けば「10歳ですよ。」
と、年配の女性が答えた。「ウチは生後8ヶ月で社会勉強中なんです。カナデ、大先輩だね、挨拶してみたら?」
カナデは、緊張したまま、じっとして動かない。先輩の赤柴ちゃんは会話を汲み取ってか、(へえ、そうなんだ。)と、静かにトコトコとカナデに近付き2メートルの距離で止まると、エヘっと笑顔を見せた。
「ほら、カナちゃん、優しい柴ちゃんだね、来てくれたよ、挨拶すれば?」
(いえ、この距離で限界ですから、お構いなく。)
相手の飼い主さんはカナデの固まり具合を見て、「ほら行くよ。」と赤柴のリードを引いて離れてゆく。カナデは後をついて3歩ほど進んだ。
「なんだ、カナデ、本当は仲良くしたかったんだね、次に会ったら挨拶しようね。」
慎重な性格のカナデさん、犬友作りも大事だけれど、歯磨きもね、練習しないとな。
散歩から戻り食事を済ませると、新しく購入した歯ブラシを試してみる。
僕は正座になりカナデを抱っこしてから指でカナデの歯をいじりまくる。
ここまではさせてくれるんだよな。その流れで指に歯ブラシをはめると、
ギャ〜、ガルルル、と、カナデはゴジラに変身。
恐い顔をすれば歯磨きしないで済むと思われても困るので、ここは心を鬼にして
逃げ出そうと暴れるカナデを無理やり手篭めにして上顎の奥歯に4回だけブラシを当ててみると、カナデは白目を剥いてイヤがった。
人間不信になることだけは避けたいので今日はここまで。
「うーん、これはダメだったか。形が怖くて気に入らないのかな。」
そこで翌日は小さな歯ブラシのブラシ部分だけを切断して中指に輪ゴムで留めてみた。人差し指で歯を触って馴染んだ頃に、隠していた中指のブラシで磨こうとする作戦。
これが、こうなる。
しかし、これも失敗だった。
始めは順調に人差し指で磨かせてくれたのだが、中指に替えた瞬間に
(チョット、何やっちゃってのよ!)と、敏感なカナデは唸りだした。断念。
カナデさんの歯磨き練習は続く。