続・爪切りと歯磨きは?
2022年1月14日
カナデさんの里親となって二週間が経ち、まずは歯磨きを始めることにする。
犬用の歯ブラシを用意していなかったので、人間用の柄のついたブラシを片手にカナデ
が待つ部屋に戻ると、カナデの目が細くなっている。 (なんだか、怪しいぞ)
「カナちゃん、抱っこするよ」と正座をしてカナデを膝の上で仰向けの状態にして見つ
め合う。「よしよし」と、頭と頬を撫でてから歯ブラシを手に取って、カナデの視界
を避けつつブラシを口元に近付けた。
「グルルル〜」と、カナデは鼻の上に皺を寄せて唇の隙間から前歯を見せる。
「なあに、かなちゃん、その顔、ジロさん怖くないよ。歯磨きしようよ。」
「大丈夫だって」と声を掛けつつ歯ブラシを奥歯に近付けつと、カナデはクワッ
と口を開いて上下の犬歯を見せた。まさに鬼の形相で、怪獣のゴジラにそっくりだ。
「 カナデ、そんな恐い顔しないでよ、あのね、歯槽膿漏になると歯が抜けちゃうよ、
歯磨き、させて。」歯にブラシを当てようとすると「ギャウギャウ、ガルルル〜」
と、首を左右に振って小さいゴジラは必死に抵抗した。
コリャだめだ、歯磨きどころではない。乳歯の頃から歯ブラシを使いたかったなあ。
野生動物は歯磨きはしていないが、固いものを囓ったりで歯石が付きにくいのだろう。
厳しい大自然の中で暮らすオオカミの平均寿命は8年くらいだという。それくらいの短かさだと、歯槽膿漏で歯が抜けちゃう前に死んじゃうのかもしれない。
それに比べて柴犬の平均寿命は、16年〜17年だから、やはり歯磨きは必要だ。
以前に知り合った犬友さんは、頬から膿が出てしまっていた。歯の根元が腐って上顎の骨が皮膚側に貫通してしまったのだとか。
犬には健康保険がないし治療代も高いから、ここは、どうしてもカナデに負ける訳にはいかない。
指で歯は触らせてくれるのでブラシの形が怖いのかな、指サックにブラシがついた
犬用のを買ってこよう、と思って今日の歯磨きは諦める。
カナデを解放すると、逃げるのではなく、尻尾を振って僕の顔へのペロペロ攻撃が
始まった。(ジロさん、ゴメンよ、悪気はないのよ)恐い顔したり、唸ったことを詫び
ているのだろう。
しょうがないな、今日のところはロープ引っ張り遊びで、歯磨き効果を少しだけ期待する。
しばらくカナデと遊んで、「あ、そうだ、ジロさん、爪切りしよっと。」
洗面所から人間用の爪切りを持って部屋に戻るとカナデを抱っこして椅子に座った。
一週間ほど前にも自分の爪切りの様子を見せておいたが、今日も二人羽織状態で
カナデの向こう側に腕を回して、パチン、パチンと指の爪を切ってゆく。
「カナデも、ちょっと切ろうね。」。と言いながら、後ろ脚の真っ黒な小指の爪を
ほんの少しだけ先をチョコンと切った。少しだけビクン、としたけれど怒りはしない。
「ほら、痛くなかったでしょう。カナデ、いい子だ。」と褒めて、また自分の
指の爪を二ヶ所ほど切ってから、「前脚はどうかな。」と、言いながらカナデの親指を摘んでカナデの爪先を少しだけチョコンと切った。
「カナデ、エライ、エライ、爪切りできたね。」爪切りは4箇所だけでお終い。
「さあ、オヤツあげよう。」大げさに身体全身を撫で回して、ご褒美には減塩の煮干しを与える。初めての爪切りは嫌がる前に褒めて終わらせた。
今日は 爪切りができたのは良かった。しかし歯磨きは宿題だなあ。メモ。